【 2024 年度 授業概要】
科   目 電力工学T ( Electric Power Engineering I )
担当教員 津吉 彰 教授
対象学年等 電気工学科・3年・前期・必修・2単位【講義】 ( 学修単位II )
学習・教育
目標
A4-E4(100%)
授業の概要
と方針
水力,火力,原子力発電,新エネルギーの原理を学ぶ事により,力学,熱力学などの物理の基本原理を応用できる能力を養成する.また,送電配電の基本となる電気回路の理論を学び,多数の演習を行うことにより,諸問題を理解,解決する能力を身につけさせる.また発電,送電,変電,配電の各設備の概要を学ばせる.



1 【A4-E4】 水力学の基礎理論および各種水力発電所の構成と設備を理解し,水力発電に関する知識と計算問題が解ける能力を身につける.
2 【A4-E4】 熱力学の基礎理論および汽力発電,ガスタービン発電,内燃力発電所の構成と設備を理解し,火力発電に関する知識と計算問題が解ける能力を身につける.
3 【A4-E4】 原子核物理の基礎理論および各種原子力発電所の構成と設備を理解し,原子力発電に関する知識と計算問題が解ける能力を身につける.
4 【A4-E4】 変電所の役割とその構成機器と運用方法を理解して説明できる能力を身につける
5 【A4-E4】 送電の原理を理解するために必要な電気回路の理論を習得する.
6 【A4-E4】 送電,変電,配電の設備の概要を理解する.
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1 レポートおよび試験で,水力学および水力発電に関する理解度を評価する.
2 レポートおよび試験で,熱力学および火力発電に関する理解度を評価する.
3 レポートおよび試験で,原子核物理および原子力発電に関する理解度を評価する.
4 レポートおよび試験で,変電設備に関する理解度を評価する.
5 レポートおよび試験で関係する電気回路に関する理解度を評価する.
6 レポートおよび試験で関係する各設備に関する理解度を評価する.
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成績は,試験70% レポート30% として評価する.試験は前期中間試験40%,前期定期試験60%の重みづけで評価する.前期定期試験で60点以上の成績を収めたものは,それまでの成績に関わらず合格とする.
テキスト 電験第3種スイスイわかる電力 第2版(著者:跡部 康秀,電気書院)
参考書  
関連科目 応用物理,電気機器I,II,III,電力工学II
履修上の
注意事項
電気回路I,物理(特に力学)の内容の習得が必要.場合により再試験を行う場合がある.

【授業計画( 電力工学T )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 発電総論.エネルギー変換論.我が国の電気事業概説.水力発電の基礎理論,水力発電設備.
エネルギー変換としての発電工学の位置づけを説明し,我が国の電気事業の歴史および現状を解説する.水の位置エネルギーから落差,流量の定義および理論出力を導く.落差の取り方による各種水力発電方式を紹介し,ダム,導水路等の水力発電所の土木設備と門扉等その付随設備を解説する.
2 各種水車の構造と特徴.水車発電機.水力発電所の諸設備,水車の比速度.揚水発電.水力計算問題解説
水力発電で使用される水車の構造と特徴および付帯設備を説明する.水力発電所で使用される発電機の特徴を説明し,その他発電所に設置される設備を紹介する.水力発電所の水車の比速度,運転制御法,揚水発電の方式を解説する.
3 火力発電の基礎理論.熱力学.各種燃料の特徴,各熱効率向上対策,公害対策
熱力学とランキンサイクルを説明し,火力発電におけるエネルギー変換,エネルギーの流れを解説する.火力発電で使用される設備,各熱効率向上対策,公害対策を解説する.
4 ガスコンバインドサイクル,タービン発電機,火力発電の計算
ガスコンバインドサイクル,タービン発電機,火力発電の計算について解説する.
5 原子力発電の基礎理論.原子核物理.原子炉の構成要素,原子力発電所の構造
原子核分裂による質量欠損と結合エネルギーの放出について学ぶ.原子炉を構成する要素,原子力発電所の構造,PWR,BWRの違いを,原子力発電で利用される反応と燃料サイクルについて解説する.
6 各種の原子炉と原子力発電の計算問題の解説
各種の原子炉と燃料サイクルについて解説する.原子力発電の計算問題について解説する.
7 水力,火力,原子力の総合復習,再生可能エネルギー等の解説
水力,火力,原子力の総合復習,太陽光発電,風力発電,地熱発電,バイオマス発電,燃料電池などの発電方式について学ばせる.
8 中間試験
水力発電,火力発電,原子力発電,再生可能エネルギー,全般の達成度について試験で確認する.
9 変電所を学ぶ1
変電所の役割,耐雷設計,防災対策,防塩対策,構成,変圧器,変圧器の並行運転,調相装置について学び,演習問題を解く.
10 変電所を学ぶ2
開閉装置,遮断器の仕組み,GIS,保護継電器,避雷器,力率改善の計算を学び,演習問題を解く.
11 送電の基礎,送電設備の構造,送電線のたるみの計算
直流送電と交流送電など電力伝送の基礎理論,送電設備の構造,送電線のたるみの計算を学び,演習問題を解く.
12 雷害,風雪害,誘導障害,コロナ放電障害,フェランチ効果,中性点接地
雷害とその防止,風雪害とその防止,誘導障害,コロナ放電障害,フェランチ効果について学ぶ,また中性点接地についてその種類と違いを学び,演習問題を解く
13 配電系統,配電線の電力供給方式と電力ケーブル,配電系統,配電線の電力供給方式と地中線路
配電系統の構成を学び,配電線の電圧降下,各種の計算問題を解くとともに,電力ケーブルや地中電線路の布設方式を学ぶ.
14 送配電線の計算についての演習
電圧降下,電力損失等配電線の計算,変圧器の負荷分担の計算,オームの法則による短絡電流の計算,パーセントインピーダンスを用いた短絡電流を学び,演習問題を解く.
15 電気材料,電力工学全般の復習
導電材料,絶縁材料などを学ばせる.テストの難易度の水準を示すとともに電力工学全般の復習を行う


前期中間試験および前期定期試験を実施する. 本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の事前・事後の自己学習が必要である.前期定期試験で60点以上の成績を収めたものは,それまでの成績に関わらず合格とする.試験は前期中間試験40%,前期定期試験60%の重みづけで評価する