【 2024 年度 授業概要】
科   目 コンピュータ工学 ( Computer Engineering )
担当教員 [後期] 木場 隼介 准教授
対象学年等 電子工学科・3年・後期・必修・2単位【講義】 ( 学修単位II )
学習・教育
目標
A3(100%)
授業の概要
と方針
コンピュータは産業用組み込み用途・個人向け用途・研究用途など広く現代社会の基盤となっている.そこで本科目では,コンピュータの動作原理・内部ディジタル回路・周辺機器の接続方法を学習し,アセンブリ言語の概要を知ることで,ハード・ソフト両面の基礎知識の修得を目的とする.



1 【A3】 コンピュータの発展と各種コンピュータの構成要件・使途,コンピュータの各種設計思想・構成と動作を理解し,説明できる.
2 【A3】 コンピュータはCPU,メモリ,周辺インターフェースからなり,数値や符号は2値信号(high,low)によって表現されていることを理解する.
3 【A3】 コンピュータの回路を構成する組み合わせ回路と順序回路,ゲートとフリップフロップ,演算回路,レジスタ,ディジタルICについて理解し説明できる.
4 【A3】 デコーダ,エンコーダの機能を理解し,これらの応用について説明できる.
5 【A3】 メモリには,DRAM,SRAM,フラッシュメモリ,マスクROM,EPROMがあることを理解し,これらの記憶単位について説明できる.
6 【A3】 CPUとメモリ・入出力ポートの結合について理解し,CPUとメモリ・入出力装置の簡単な接続回路が設計できる.
7 【A3】 CPUの命令実行の流れ,機械語命令とアセンブリ言語プログラムの概要について理解し,簡単なアセンブリプログラムが記述できる.
8 【A3】 CPUとインタフェイスICを用いてLEDやスイッチ回路をはじめとした外部機器を制御する回路とプログラムについて理解する.
9 【A3】 入出力制御方式を理解し説明できる.CPUの内蔵割り込み機能を理解し説明できる.
10 【A3】 コンピュータにおけるトラブル,例外処理と高速化技術の概要を理解し説明できる.












1 コンピュータの発展,コンピュータの構成要件・使途,ノイマン型コンピュータ,ハーバード・アーキテクチャ,CISC,RISCなどの項目について説明できるかをレポートおよび中間試験で評価する.
2 コンピュータの基本構成が説明できるか, 2進数・10進数・16進数の基数変換やBCD符号の変換ができるか,補数演算ができるかなどをレポートおよび中間試験で評価する.
3 各種ゲートをトランジスタ回路で示し説明できるか,ファンアウトを算出できるか,フリップフロップの機能をタイムチャートで説明できるかなどをレポートおよび中間試験で評価する.
4 デコーダをゲート回路を用いて説明できるか,デコーダやエンコーダの機能を入出力表を用いて説明できるか,デコーダやエンコーダの応用を図を用いて説明できるかをレポートおよび中間試験で評価する.
5 メモリの分類,SRAM / DRAM / フラッシュメモリそれぞれの特徴と記憶単位,書き込み・読み出しのプロセスについて,回路図を用いて説明できるかをレポートおよび中間試験で評価する.
6 指定された条件に合わせてCPUとメモリを結合する回路が設計できるか,スイッチ・LED等の入出力装置をCPUに接続し,データを入出力する回路を設計できるか,レポートおよび中間試験または定期試験で評価する.
7 各種命令を用いて,アセンブリ言語プログラムが書けて説明できるか,また入出力装置との間のデータを入出力するためのプログラムを作成できるかをレポートおよび中間試験または定期試験で評価する.
8 外部機器との接続回路の設計ができるか,制御用プログラムの記述ができるかをレポートおよび中間試験または定期試験で評価する.
9 入出力機器とのデータのやり取りの方法について具体的に図・プログラムを用いて説明できるか,内蔵割り込みを理解し説明できるかを,レポートおよび定期試験で評価する.
10 トラブルや例外処理の種類,パイプライン化などの高速化技術の概要について,理解できているかどうかをレポートおよび定期試験で評価する.




成績は,試験90% レポート10% として評価する.試験成績は中間試験と定期試験との平均点とする.100点満点で60点以上を合格とする.教員の判断により臨時試験を実施する場合がある.
テキスト 適宜プリントなどの資料を配付する.
参考書 「ビジュアル版コンピューター&テクノロジー解体新書」:ロン・ホワイト(ソフトバンククリエイティブ)
「コンピュータアーキテクチャ 改訂3版」:馬場敬信(オーム社)
「図解PICマイコン実習」:堀桂太郎(森北出版)
関連科目 D2「論理回路」,D3「電子工学実験実習」(マイクロコンピュータの基礎実験およびPICの実験),D5「コンピュータアーキテクチャ」
履修上の
注意事項
D2「論理回路」を理解しておくこと.

【授業計画( コンピュータ工学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 コンピュータ・CPUアーキテクチャの基礎
CPU・コンピュータの構成,ノイマン型コンピュータの構成と動作,組み込みシステムの基礎,CPUアーキテクチャの基礎について理解する.
2 2値信号による数値および符号の表現,論理ゲート
ビット・バイト,MSB・LSB,2進数・10進数・16進数の基数変換,BCD符号,2の補数による負数の表現,ASCIIコードなど,各種のデータ表現について復習も含め理解する.論理ゲート・ブール代数の基本・論理式の簡単化について復習し理解する.
3 加算器・演算回路・エンコーダとデコーダ・クロック・フリップフロップ・レジスタ
全加算器,並列加算回路,デコーダとエンコーダについて理解する.クロックによる信号の同期と各種フリップフロップの動作について復習し理解する.レジスタの構成について理解する.
4 MOSFETによる論理ゲートの実現,3状態ゲート
TTLとCMOSの違いやファンアウト,各種ロジックIC間の接続,オープンドレイン型について理解する.MOSFETによる論理ゲートやフリップフロップの構成について理解する.3状態ゲートと,これを用いたコンピュータ回路の信号選択について理解する.
5 メモリ(1)
半導体メモリを中心とする各種メモリの分類について,揮発性,書き込み能力,アクセス性の観点から理解する.SRAM・DRAM・フラッシュメモリの記憶単位・動作原理について理解する.
6 メモリ(2)・基本的なプロセッサの主要ピン構成
引き続きSRAM・DRAM・フラッシュメモリの記憶単位・動作原理について理解する.近年研究の盛んな新原理メモリについて概要を知る.簡単なプロセッサを例に,汎用CPUの主要ピン構成について学習し,CPUとSRAM,DRAMの接続について理解する.
7 復習・演習
第1回から第6回までの授業内容の復習と問題演習を行う.
8 中間試験
第1回から第7回までの授業内容について試験する.
9 中間試験結果のフィードバックと解答解説,プロセッサの内部構成
中間試験のフィードバックを行い,試験問題の解答解説を行う.その後,プロセッサ内の演算論理ユニットALU,各種レジスタ,制御ユニットCU等について理解する.
10 命令とプログラム,基本的なアセンブリ言語の命令とアドレス指定方式
機械語命令とアセンブリ言語,CPUの命令サイクルについて学習し,命令実行時にメモリを参照していることを理解する.動作周波数,命令実行時間について理解する.転送命令と各種アドレス指定方式,演算命令,シフト・ローテイト命令について理解する.
11 入出力機器の接続と制御方式
CPUとインタフェイスICを用いた入出力ポートの接続について理解する.スイッチ入力回路やLED表示器を題材に,メモリマップトI/OとポートマップトI/O,入出力制御命令について理解する.
12 分岐・反復構造の実現,スタック,スタックポインタとサブルーチン
無条件・条件付きジャンプ命令,フラグレジスタの役割,分岐・反復制御について学習する.スタック機構について学習する.また,スタックに関連付けながらサブルーチンとその動作について学習する.
13 割り込み処理,トラブル,例外処理
制御用マイクロコンピュータにおける外部変化の検知方式や外部割り込み処理の概要について学習する.CPUの初期動作とRESETについて学習する.チャタリング,ハザードなどのトラブルの原因と対処法について学習する.内部割り込みと例外処理について学習する.
14 高速化技術
近年の計算機の高速化技術について概要の学習を行う.
15 復習・演習
第9回から第14回までの授業内容の復習と問題演習を行う.


後期中間試験および後期定期試験を実施する. 本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の事前・事後の自己学習が必要である.事前学習では,事前配布される次回範囲のプリントを読み,疑問点をまとめておくこと.事後学習では,授業で課されるレポートまたは提出不要の演習問題を実施すること.