科 目 | 有機反応機構論 ( Organic Reaction Mechanism ) | |||
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担当教員 | 小泉 拓也 教授 | |||
対象学年等 | 応用化学専攻・1年・前期・選択・2単位【講義】 | |||
学習・教育 目標 |
A4-AC1(100%) | |||
授業の概要 と方針 |
有機化学を理解する上で有機反応機構の修得は必要不可欠である.本講義では基礎的な有機反応機構 (有機電子論・溶媒効果・隣接基関与・直線自由エネルギー関係 (Hammett 則)・立体電子効果・ペリ環状反応など) について述べる. | |||
到 達 目 標 |
1 | 【A4-AC1】 有機電子論の概念に基づいて反応の選択性,特異性を説明することができる. | 2 | 【A4-AC1】 隣接基関与の概念を理解し,有機反応においてどのような役割を果たすかを説明することができる. | 3 | 【A4-AC1】 直線自由エネルギー関係 (Hammett 則) の概念を理解し,有機反応機構論においてどのような意味を持つかを説明することができる. | 4 | 【A4-AC1】 立体電子効果の概念に基づいて反応の選択性,特異性を説明することができる. | 5 | 【A4-AC1】 Woodward-Hoffmann 則,フロンティア軌道論の概念を理解し,軌道の対称性に支配される反応であるペリ環状反応がどのように進行するかを説明することができる. | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
評 価 方 法 と 基 準 |
到 達 目 標 毎 |
1 | 有機電子論の概念に基づいて反応の選択性,特異性を化学反応式,文章を用いて説明することができるかを中間試験およびレポートで評価する. | |
2 | 隣接基関与の概念を理解し,有機反応においてどのような役割を果たすかを化学反応式,文章を用いて説明することができるかを中間試験およびレポートで評価する. | |||
3 | 直線自由エネルギー関係 (Hammett 則) の概念を理解し,有機反応機構論においてどのような意味を持つかを化学反応式,文章を用いて説明することができるかを定期試験およびレポートで評価する. | |||
4 | 立体電子効果の概念に基づいて反応の選択性,特異性を化学反応式,文章を用いて説明することができるかを中間・定期試験およびレポートで評価する. | |||
5 | Woodward-Hoffmann 則,フロンティア軌道論の概念を理解し,軌道の対称性に支配される反応であるペリ環状反応を化学式,文章を用いて説明できるかを定期試験およびレポートで評価する. | |||
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総 合 評 価 |
成績は,試験90% レポート10% として評価する.なお,試験成績は中間試験,定期試験の平均点とする.100点満点中60点以上を合格とする.また,自己学習のために与えられたレポートの提出を求める.ただし,原則として,未提出レポートがあった場合は不合格とする. | |||
テキスト | 特に指定しない(プリント配布) | |||
参考書 | 「有機反応論」:加納航治 著(三共出版) 「有機反応の化学」:花房昭静 著(大日本図書) 「構造有機化学 有機化学を新しく理解するためのエッセンス」:齋藤勝裕 著(三共出版) 「立体電子効果 三次元の有機電子論」:A.J.Kirby 著・鈴木啓介 訳(化学同人) 「ペリ環状反応 第三の有機反応機構」:I.Fleming 著・鈴木啓介・千田憲孝 共訳(化学同人) |
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関連科目 | C2 有機化学I, C3 有機化学II, C4 有機化学III, C5 有機化学IV, C5 応用有機化学 | |||
履修上の 注意事項 |
有機化学の基礎知識を前提とするので,上記の科目で学んだ内容を十分学習,理解した上で履修することが望ましい. |
週 | 上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など) |
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1 | 有機電子論 (1) |
求核置換反応 (SN1,SN2,SNi) について述べる. | |
2 | 有機電子論 (2) |
求核置換反応における溶媒効果,脱離反応 (β-脱離) の反応形式 (E1,E2,E1cB) について述べる. | |
3 | 有機電子論 (3) |
脱離反応における立体化学 (anti 脱離,syn 脱離),E1,E2 反応の配向性,脱離反応における溶媒効果について述べる. | |
4 | 有機電子論 (4) |
E1cB 反応,脱離基の脱離能,α-脱離反応とカルベン,カルボニル基に対する求核付加反応,アシル求核置換反応 (アシル開裂,アルキル開裂) について述べる. | |
5 | 隣接基関与 (1) |
隣接基関与の概念,有機反応における隣接へテロ原子による隣接基関与,非古典的カルボカチオンの概念,フェノニウムイオンについて述べる. | |
6 | 隣接基関与 (2) |
有機反応における π 結合による隣接基関与 (π-participation,ホモアリル共役など),σ 結合による隣接基関与について述べる. | |
7 | 隣接基関与 (3) |
隣接小員環 (cyclopropane) の隣接基関与,bicyclo[2.2.1]heptane 系の骨格転位反応について述べる. | |
8 | 中間試験 |
1週目から7週目までの内容で中間試験を行う. | |
9 | 中間試験の解説および置換基効果および直線自由エネルギー関係 (1) |
中間試験の解説を行う.置換基効果 (誘起効果,共鳴効果) について述べる.直線自由エネルギー関係の概念,置換安息香酸の酸解離反応における置換基効果 (Hammett 則) について述べる.また,反応定数 ρ と置換基定数 σ について述べる. | |
10 | 直線自由エネルギー関係 (1)および立体電子効果 (1) |
種々の有機反応の反応速度における置換基効果 (σ+,σ-) について説明する. 立体電子効果の電子論的基礎,立体配座の効果 (ゴーシュ効果,アノマー効果) について述べる. | |
11 | 立体電子効果 (2) |
飽和炭素上での置換反応,脱離反応,不飽和炭素への付加反応における立体電子効果について述べる. | |
12 | ペリ環状反応 (1) |
ペリ環状反応の概念,フロンティア軌道論の概念ついて述べる.LCAO 法による分子軌道の考え方について述べる.エチレンの分子軌道の考え方について述べる. | |
13 | ペリ環状反応 (2) |
LCAO 法による1,3-ブタジエンの分子軌道の考え方について述べる. 置換基効果による分子軌道のエネルギー準位の変化について述べる. | |
14 | ペリ環状反応 (3) |
熱または光条件における電子環状反応について述べる. | |
15 | ペリ環状反応 (4) |
熱または光条件における環化付加反応 (Diels-Alder 反応他) について述べる. | |
備 考 |
前期中間試験および前期定期試験を実施する. 本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の事前・事後自己学習が必要である.事前学習では,シラバスにより,授業内容を確認し,各自で理解できないところを整理しておくこと.事後学習では,授業内容をまとめた授業ノートまとめを指定期日までに提出すること. |